なぜ磁歪振動発電が無線センサやIoTモジュールの電源として使えるのか?
(これを行うデバイスはこちら。実用性の高い構造です。)


逆に,なぜ商用電源や太陽電池は,無線センサやIoTモジュールの電源としてあまり利用されていないのか?。
 
商用電源(AC100V)が向かない理由
 コンセントが回りに沢山あるから,これから電源を取ればよいのではと皆さん思います。私もそうでした。実際,これら
交流100Vや大型の電源を無線センサの電源とすることは非常に面倒です。
 理由,まず無線センサは3.3~5Vの直流電圧,また小さな電力で動きます。交流100Vから直流の電圧を取り出すには
交流を直流に変換するアダプタが必要です。これは以外と面倒で,大きな電流が流れるため状況によっては,安全のための保護回路も必要になります。素人がAC100Vを3.3Vに変換する回路をつくるのは危険です。(感電や漏電して火事が起こる危険もあります。)これは電源が大きくなるにつれて困難になります。つまり「単純に近くにコンセントや巨大な電源があるのでこれが使える」ではありません。
 また仮に,この工事できたとして,電源の直ぐ近くにセンサを配置するとは限りません。つまり電源からセンサへ
長い配線が必要になります。センサが多いほどその配線も煩雑になります。場合によっては配線の管理や断線防止の配慮が必要になるでしょう。以上の理由で,身の回りにある商用電源や巨大電源で分散する沢山の無線センサを動かすのは現実的ではありません。
 これに対し,振動発電は
安全です。感電や漏電と見なされるような大きな電流は流れません。発生する電力も小さいです。また基本的に発生する電圧は交流ですが,1~10Vの電圧が発生し,これを直流に変換する回路も簡単にできます。電圧も低く危険ではありません。また機械やインフラの診断では振動センサをよく利用します。なぜなら機械は動くと振動が発生し,その異常は振動に現れるからです。この場合,振動がある場所,つまり発電デバイスを設置する場所に振動センサを配置することになります。よってこれらを繋ぐ線も短くできます。

太陽電池が向かない理由

太陽電池は無線センサの電源として手軽に使えます。日照を確保する必要がありますが,一旦セットすれば,永続的に使えます。電力もそこそこ取れます。私も選択肢があるなら,これを一番に考えます。敢えて振動発電を使うメリットはありません。
 しかしよい発電を維持するには
パネルの表面を綺麗に保つ必要があります。例えば工場や野外で粉塵や埃などがかかる場合,その都度,綺麗にしなければなりません。そうしないとずーと不良の状態です。この手間を,無線センサの動作を維持するだけのために,人が「わざわざ」現地に出向いて行うでしょうか。電池交換すると変わらない程の手間がかかります。それなりに大きな電源だと,これを行う価値がありますが,そうでない場合,これは単なる足かせです。電卓や腕時計の太陽電池のように汚れたら拭けばでよいのではありません。以上,太陽電池を予知保全等の無線センサの電源に利用する場合,使用環境にも注意が必要なのです。
 振動発電の場合,一旦セットすれば,メンテナンスは不要です。(磁歪式においてはこの耐久性,長期動作を検証中です)理由,
構造体の振動の周波数の成分はそう大きくは変化しません。なぜなら世の中の構造体や機械は頑丈につくられているからです。(頑丈でないモノは長く使えません。)
 そして振動の周波数はモノの重さとバネの特性できまります。重さは変わらず,ばねの特性が変わらなければ,基本,
振動の周波数は変化しません。ばねの特性は一定で,それが変わるのは,そのモノが壊れる(亀裂が入る),高温,または低温(これも相当の温度です)で柔らかく,または硬くなった場合です。普通に使う分には大きく変化しません。つまり振動発電は,一旦調整し,振動が発生している前提で,デバイスの重さとバネの特性も変化しない(一般的な機械と同じ),かつデバイスの振動が阻害されないなら,永久に発電し,電力を供給し続けることができるのです。