磁歪式振動発電

シンプルで丈夫,高い発電力!

磁歪材料

当研究室では”磁歪材料”を用いた振動発電の開発を行っています。磁歪効果とは,磁性体が磁化するとき形状が伸びる効果です。 鉄も微小ですが磁歪効果を持っています。この磁歪効果による伸びが大きな材料が磁歪材料です。

近年,米国海軍研究所で優れた磁歪材料 Galfenol が開発されました。この材料は鉄とガリウムの合金で,非常に堅牢で加工性がよく,磁歪が大きいのが特徴です。加工性について,例えば,写真のように棒状のGalfenolから板状の磁歪素子を簡単に作ることができます。この材料は,逆に力を加えると磁化(磁力線)が大きく変化する逆磁歪効果を持っています。以下,Galfenolの主な特徴です。

実は,このGalfenol,圧縮力を加えると1テスラ以上も磁力線が変化します。振動発電のポイントは,どのやってGalfenolに効率よく力を加え,この変化を電気エネルギーに変換するか,そのメカニズムです。

発電の原理

発電機の基本的な構成を右図に示します。発電機は,コイルを巻いた2枚の板状の磁歪素子(Galfenol)を平行にならべ,その両端をヨーク(鉄など)に接合した“平行梁”が基本です。この側面に永久磁石を吸着させます。磁石の発生する適度な磁力線が,2枚の磁歪素子を通っています(これもポイント)。

ここで発電機の一方(固定部)を固定し,他方(可動部)に上方向の力を作用させると,平行梁は湾曲します。この時,上の磁歪素子には圧縮力が加わり,逆磁歪効果で磁力線が減少します。逆に,下の素子では引張り力が加わり磁力線が増加します。このように平行梁に振動が加わると,素子に作用する力,つまり磁力線は交番状に変化します。この時,電磁誘導の法則でコイルに電圧(起電力)が発生します。(電磁誘導とは,コイルのなかを通る磁力線の時間的な変化に比例して電圧が発生する基本な法則です。)

この構造のポイントは力を拡大するメカニズムにあります。平行梁は,テコの原理で,小さな曲げ力を大きな軸力に変換します。例えば,1の曲げ力は,20の軸力に拡大されます。結果,小さな力で大きく磁力線を変化させることができます。この磁気的なエネルギーの変化が平行梁の隙間に巻いたコイルで効率よく電気エネルギーとして取り出されます。

この発電機は,磁歪素子を含め,鉄をベースにした材料で構成されているので,たいへん丈夫なのも大きな特徴です。摩耗する部品もありません。また発電機(コイル)の電気抵抗も小さいです。LEDや大容量のキャパシタなどの負荷との整合が取りやすく,エネルギーを効率よく消費したり蓄えたりできます。

特徴

以下,発電機の特徴をまとめます。Galfenolの優れた特性が反映しています。